明治４１年（１９０８年）

　１月１０日（金）弟篤二朗没す。

　２月　５日（水）次男不律死す。

　４月２８日（土）Robert Koch の歓迎会（偕楽園於いて）北里柴三郎、森鷗外等

　７月　９日（火）川上音次郎、貞奴に逢う。

１０月１５日（火）川上貞奴帝国女優養成所を開く。祝電を送る。

明治４２年（１９０９年）

２月　８日（月）Munchen の Odeon より葉書来たり。大久保榮、加藤照麿、内山好十、 野田三郎、前田松苗、難波輝秀、市村光恵署名なす。

３月１３日（土）脚本假面を書き畢る。

４月３０日（火）假面を校し畢る。

５月１６日（日）小山内薫市川左団次を伴ひて至る。

５月２２日（日）伊井、村田の二人假面を興業するに就きて来話す。

５月２７日（木）午前五時次女生まる。

５月３１日（月）大久保榮假面中の瑕疵を告げおこす。伊井蓉峰に申し遣す。

６月　６日（日）新富座に往きて伊井一座の假面を演するを見る。大向こうの見物騒擾す。

６月１7 日（木） 横浜市歌の印刷成る。

６月２７日（日）高濱清来て Borkmann を国民新聞に載することを語る。

６月２９日（火）Schlenthuner の Borkmann 評を口譯して遣す。

７月　１日（木）陰。時々雨ふる。横濱に往き開港五十年記念祝祭に参列す。

＊記念スタンプの風景写真葉書二葉(桟橋と装飾弁慶釣り鐘と提灯）

　於菟第一高等学校の卒業證書を受く。国民新聞 Schlenthner の Borkmann 評を載せはじむ。

７月　５日（月）大久保榮、加藤照麿等が杏奴の誕生を賀する書 Munchen より至る

７月２５日（日）高村光太郎巴里より帰りしによりて、青楊會を開きて歓迎す。     

８月　３日（火）高村光太郎等来話す。

８月　８日（日）Borkmann を譯して完結す。

８月１７日（火）伊原敏郎来て俳優を欧州に派遣することにつきて予の意見を質す

９月１３日（月）於菟初て醫科大學にゆく。 

１１月２７日（土）母上於菟と茉莉とを連れて、有楽の Borkmann 興業を見に往き給う。

明治４３年（１９１０年）

 ６月　９日（木）大久保榮（巴里）に書を寄す。

６月１１日（土）大久保榮パリにて客死

６月１３日（月）大久保肇（岐阜）に書状を発す。

６月２７日（月）青山胤通、大久保肇に大久保榮が遺骨の事を申し遣る。

６月３０日（木）Scheibe(伯林)に書状を遣る。

７月　１日（金）鷗外、三田文学に『花子』を発表

７月　６日（水）朝小金井良精の洋行するを送りて新橋にゆく。

７月　８日（金）長與又郎、太田孝之の二人来て大久保榮遺稿の事を語る。

７月１２日（火）大久保肇（岐阜）に書を遣る。

８月　１日（月）大久保肇（岐阜）、太田孝之（東京大学）に書状を遣る。

１０月２３日（金）大久保肇に復す。

１１月１０日（木）大久保榮の遺物来しを、其養父肇等と開封し、顕微鏡を帝国大学に還 し、指輪を小金井きみ子に還す。

１１月１１日（金）大久保榮の遺物を整理す。

１２月１６日（金）大久保榮が大學の為に購ひし顕微鏡の代価の決算をなす。夜雪。

＊文部省専門學務局 　明治４３年１１月１４日 故大久保栄氏遺産七個に対する京浜間 拉外務省、丹後丸通関手数料 　御届賃 　請求証　大久保肇宛て封書一通

明治４４年（１９１１年）　田鶴子 (１７歳) の結婚 

１月１８日（水）小金井きみ子来て田鶴子の縁談を語る。

１月２３日（月）夜きみ子来て、穂積家と縁組みせんとすることにつきて相談す。

１月２５日（水）きみ子来て縁談の事をいふ。

２月１１日（土）紀元節のために参内する。三男類生まる。

４月２５日（火）大久保榮遺稿刊行費十圓を長與又郎に送る。

４月２６日（水）大久保榮遺物中の医書を長與又郎に交附す。

５月１７日（水）小金井田鶴の縁談纏まらんとす。

５月２５日（木）小金井田鶴子の見合ひあり。

６月２９日（木）小金井田鶴子柿内三郎と結婚す。

７月２６日（水）大阪の伊藤忠兵衛大久保榮遺稿出版費中へ金百圓を寄附す。よって長與 又郎に送り置く。

８月２６日（土）大久保榮遺物中の文学書の価三十余圓を、南江堂封の儘にて長與又郎に 引き渡す。

９月１８日（月）大久保肇に返信す。

１１月１５日（水）小金井良精夜来て大久保榮遺稿の事を話す。

１２月　８日（金）小金井良精独逸協会学校にて、長與の書ける大久保榮遺稿の序を独逸 語に訳せるを携え来て示す。